苦手な保護者と接するコツ
児童福祉法で定められている保育士の仕事は「児童の保育」ともう一つ「保護者の指導」です。
指導というとちょっと仰々しいですが、簡単に説明をすれば子供を預かる時に健康状態についての意見交換をしたり、園内の態度から家庭内での保育の方法についてアドバイスをするというようなことです。
場合によっては子供の生育状況があまりにも劣悪である(身体的虐待・性的虐待・育児放棄・ネグレクト・心理的虐待)疑いがある時には、児童相談所などに通報することが義務付けられています(児童福祉法第25条)。
ところで現場で仕事をしていると、虐待とまではいかないまでもなかなか指導しづらい家庭といくつか遭遇することがあるでしょう。
いくつかよくある例を挙げて行けば、お迎え時間を大幅に過ぎているのに連絡がつかなかったり、必要なお弁当や子供のための用品を準備してこないといったようなことです。
他にも不可抗力で起こってしまった子供の病気やケガについて過剰に保育所に責任を求めたり、保育料を何ヶ月も滞納したりといったようなこともあります。
今時の言葉で言えば「モンスターペアレンツ」ということになるかもしれませんが、そうした人が多く保育所を利用することで現場の保育士は対応に時間と体力をすり減らせ、それが離職に理由になっていったりするので問題は深刻です。
しかしそこで「あそこの家の人はモンスターペアレンツだから」と切り捨ててしまっては子供のためにもなりません。
苦手な保護者であっても、なぜそのような問題行動を起こすかという背後の事情を見極め、適切に対応をしていく必要があります。
まずは自分一人だけで対処をしようとせず、同じ施設の保育士や責任者に普段の様子を説明し、その上で一方的に責めるようなことはせずに接していきましょう。
保育士として接する場合の注意点
最初はわりと普通の人であったのに、保育所を利用していくうちに次第に問題行動を起こすタイプの人も多くいます。
そうした人に共通しているのは、それまでは距離感を持って接していた周囲の保護者や保育士と、何らかの事情があってプライベートなラインを超えた衝突が起こり、それがきっかけで敵認定をされてしまうということです。
特に孤独な環境で子育てをしている人の場合、自分一人が悪者にされたり、自分の子供が不当な扱いを受けたと感じるようなことがあると、激しい思い込みで周辺に攻撃的な行動をとってきたりします。
保育士も人間なので話しやすい人とそうでない人とがいるとは思いますが、特定の人やグループと個人的に親しそうにしているということが問題を大きくすることにもなるのです。
親しくするにしても仕事の時間中に露骨にそうすることは避け、きちんと保育士と保護者という立場で接するようにしましょう。