保育士の給与が低い原因

保育士は深刻な人材不足の状況に置かれているにも関わらず、給与待遇が劇的に良くなるという兆しは見えません。

これは介護業界にも言えることですが、年々需要が高まるサービスであるのに反比例して、待遇の悪さが離職率の高さにつながっているという悪循環が見られています。

子供と関わり子供の成長を見守りたいという高い志を持って保育業界に転職をしてきたという人であっても、現実的な給与額の低さが障害になり、早期に離職してしまうという例も現実にはたくさんあるのです。

そもそもとして、なぜ保育士の給与が低いかというと原因はいくつかあります。
あまりはっきり言われていませんが、保育士が以前より「女性の仕事」であったことが一番の理由と言えます。

日本は諸外国に比べて男女の給与格差が非常に高く、例えば同じく45.5歳時点の平均給与額を比べて見ると男性が514万円であるのに対し女性は272万円と倍近くの差があります。

もちろん女性でも高年収を得られる人も増えてきてはいますが、それでも妊娠や出産により一時退職をしたあとの女性のキャリアプランが確立していなかったりといった理由で、女性が多い職種は平均給与額が低くなってしまっているということが多いのです。

他にも小さな理由はたくさんありますが、もともとは若い女性が中心となってきた仕事ということで、これまで世間的に給与額を高くするという発想に至っていなかったということが大元の原因であると言ってもよいでしょう。

歴史、財源、運営主体等の理由

そうした世間的意識だけでなく、具体的な保育士という職業の歴史や財源、運営主体の問題により、給与待遇の改善がされていないということもあります。

保育士という職業が誕生した歴史をみていくと、きちんと一つの職種として認められるようになったのは1960年頃からです。

それまでは女性の職場といっても自営業や農家が中心であり、結婚をしたら家庭に入るものという意識が強く持たれてきました。

そのため外に仕事に出るためにどこかに預けるとしても親戚や近所のお寺ということが多かったので、職業として認められたのはかなり最近になってからです。

歴史が浅いということもあり、公共性が高い仕事であるのにも関わらず公的事業と民間事業の中間のような扱いになっており、つけられる財源は決して高くありません。

同時に運営主体にも問題があり、2000年という最近まで保育所を運営できるのは区市町村や社会福祉法人など、営利目的ではない組織に限定されていました。

民間事業が参入してきてもまだまだ利益ベースで保育が行われるわけではないため、どうしても補助金の範囲内でしか給与や事業を展開することができていないという問題があります。

カテゴリー: 保育士のお悩み