現在の男性保育士をとりまく採用状況
保育士として勤務をしている人全体から見て、男性保育士が占める割合は約4%とされています。
全体の4%しかいない人材を採用するわけなので、積極的に採用したいと考える施設からすれば希少な人材です。
就職紹介サービス「マイナビ」の公表によると、2017年卒でマイナビを通じて採用された保育士のアンケート調査では、既に92.5%の保育事業者に男性保育士が在籍していると言います。
ただし「マイナビ」が対象としているのは地方公務員扱いになる公立の保育所ではなく、あくまでも株式会社や社会福祉法人として運営されている民間事業所のみです。
このうち「今後も積極的に採用したい」としている事業所は約5割程度で、「積極的ではないがいい人がいれば採用したい」と回答している事業所も42.5%いることから、業界的には概ね好意的に受け入れられているようです。
ちなみに男性保育士の採用を「考えていない」としている事業所は2.5%となっています。
男性保育士を積極的に採用したいという事業所のみを対象にした採用理由については「男性保育士が少ないから(50%)」「力仕事など女性保育士にはない能力が必要だから(27.3%)」といったことが挙げられます。
採用が厳しい理由
保育の現場で期待されている男性保育士の役割としては他にも「長く働いてもらいたい」「将来幹部として採用したい」といったことがあります。
これは女性保育士の場合、結婚や出産といったことがあるとどうしてもそこでキャリアが中断してしまい、体力的な問題により復職をせずにそのまま現場を離れることが多いことが関係しています。
しかしながら現実問題として、そうした長く勤務をしてくれる男性保育士が多く集まっているかというと必ずしもそうではありません。
というのも男性の場合は逆に自身が結婚をしたり子供ができたりしたときに、給与や待遇の問題で同じく離職を余儀なくされるということもあるからです。
男性保育士が採用面接に来ても、将来的な昇給・昇進のキャリアパスが明確になっていない場合は、そこで就業が見送られてしまうということもあります。
また事業所によってはそもそも男性の就業者を受け入れる設備が整っていないために、採用を見送っているということも多いでしょう。
それまでいなかった男性が就業をするとなると、専用のトイレや更衣室などの場所が必要になってしまうので、そこまで投資してあえて男性保育士を受け入れるということにメリットを感じないという事業所もあるのです。
加えて男性保育士を受け入れるということに抵抗感を示す保護者がいた場合、施設はそこに対応するための時間が割かれてしまいます。